アガッツィ教育は昔からあるイタリアの教育方法で、母性や家庭を重視した教育方法です。
日本でも幅広く保育の場では取り入れられていますが、具体的な名前を耳にすることは少ないかもしれません。
この記事では、アガッツィ教育について幅広く紹介しますので、詳細を知りたい方は参考にしてくださいね。
アガッツィ教育とは
アガッツィ教育とは、1895年に北イタリアのアガッツィ姉妹によって提唱された思想です。
すでに127年も前に提唱された幼児教育方法でイタリア全土に定着しています。
アガッツィ教育とは、グローバル化に対応できるように子ども目線で世界を見る思想で、母性と、兄弟・姉妹を重視した思想です。
この思想は、実は、日本の幼児教育の根底にもある思想といえます。
アガッツィ教育の特徴
アガッツィ教育の大きな特徴は2つあります。
①母性的な教師が子どもに道徳心を育ませる ②兄弟・姉妹愛に着目し、縦割り保育を実践する |
アガッツィ教育で大事なことは母性です。
そのため、母性をもった教師・保護者が子どもに関わり、子どもの欲求を満たしていくことで道徳心を育てていきます。
また、大きな特徴は、異年齢の子どもの交流を重視している点です。
縦割り保育を実践している保育施設をイタリアではアガッツィ園と呼んでいます。
家庭的な雰囲気を重視し、基本的な生活指導を行っていくこともアガッツィ教育の特徴です。
無理に大人の理想を押し付けることなく、子ども目線で視野を広げていくことから、グローバル化に適した教育方法として注目されています。
アガッツィ教育の3つのメリットと効果
アガッツィ教育の幼児教育では、4つのメリットがあります。
・子どもに愛情が身に付く・規則正しい生活習慣が身に付く ・自発的に考えられるようになる・道徳心が身に付く |
アガッツィ教育では母性が重視されていますので、愛情豊かな子どもに成長できることが大きなメリットです。
親子愛だけではなく、兄弟・姉妹愛も重視していますので、家族愛全般や保育施設の教師との間にも信頼関係が生まれます。
愛を学んだ子どもはお友達への愛情も育まれ、優しい子どもへと成長できることがメリットです。
アガッツィ教育では、衛生的な生活習慣を身につけることも基本的な考え方ですので、手洗い・うがい、栄養など規則正しい生活習慣が身に付きます。
また、教師や保護者が常に寄り添うのがアガッツィ教育の思想ですので、子どもがわからないことにも手を差し伸べて考えられるように導いていけるのです。
結果的に子どもは自発的に考える力を見つけることができます。
そして、道徳的な観点を重視する思想がありますので、善悪が身に付き道徳心が育つこともアガッツィ教育のメリットです。
子どもの目線で視野を広げる教育方法のため、グローバル社会にも適した子どもへと成長する効果が期待できます。
そのためには母性をもった保育者が常に寄り添い、広い視野で子どもを導いていかなければいけません。
アガッツィ教育の対象年齢と年齢別の教育方法
アガッツィ教育には特に対象年齢は提唱されていません。
しかし、幼児の脳の発達は主に6〜7歳までと考えられています。
そのため、幼児教育はできるだけ0歳から6歳までに取り入れていくことがおすすめです。
アガッツィ教育には、モンテッソーリ教育のように対象年齢別の玩具などがないことも特徴。
その代わりに「コントラッセーニ」と呼ばれるように、子どもの玩具には固有のものを利用します。
例えば、自分のクレヨンには名前を書くなどのことです。
日本の保育施設でも、個人の識別ができるように必ず記名するなどが基本的なこと。
実はこの思想はアガッツィ教育からきているんですね。
アガッツィ教育で、取り入れて行きたい教育方法を以下に例として挙げていきます。
<アガッツィ教育の年齢別教育方法>
対象年齢 | 取り入れたい教育方法 |
0歳〜1歳 | ・保護者が愛情を持って話しかけ常に寄り添う |
2歳 | ・家庭にある一般的な玩具で子どもと愛情を持って遊ぶ |
3歳 | ・年上の子どもとパートナーになり、愛情を学ぶ・年上の子どもサポート受けて自分なりに考える |
4歳 | ・年下や年上と接して家庭的な愛情を学ぶ・規則正しい生活習慣を身につける・異年齢との遊びを通して、道徳心を学び、権利や義務などを学ぶ |
5、6歳 | ・年下の子どもの世話をして愛情や道徳心を学ぶ・年下に譲ることを学ぶ |
※2022年4月時点
上記表を見てもわかる通りにアガッツィ教育では特別な玩具を利用しません。
家庭的な雰囲気での教育が基本理念ですので、家庭にある一般的な玩具を使って寄り添って行きましょう。
ただし、幼稚園に入る年齢になったなら、異年齢でパートナーになり、家庭でいう兄弟・姉妹のように他の子どもと接していき、視野を広げていきます。
そうすることで他者への愛情を育み、道徳心を身につけ、権利や義務を学んでいきます。
そして大事なことは衛生的な環境で基本的な生活習慣を身につけること。
どの年齢においても、規則正しい生活習慣は、取り入れていかなければいけません。
アガッツィ教育で家庭に求められるもの・できること
アガッツィ教育は実は日本においての基本的な教育方法と酷似しています。
ですから、アガッツィ教育を家庭で取り入れるなら、愛情で子どもに寄り添い、子どもの意見に耳を傾け、否定しないで教育していくことが大切です。
そのためにできることは、兄弟や姉妹で遊ばせ、子どもの社会を大事にすること。
問題はできるだけ子どもに解決させていくことも大切です。
しかし、問題が解決しない場合は、保護者は手を差し伸べ、平和的に解決できるように導いていきましょう。
例えばアガッツィ教育では、兄弟でゲームをするなら、兄は弟に順番を譲ったり、勝ちを譲ったりすることも大切だと考えられています。
そうすることで、愛情が育まれ、道徳心も身についていくのです。
アガッツィ教育にかかる費用
アガッツィ教育を家庭で実践するためには、特に費用はかかりません。
正しくアガッツィ教育を理解していくためには、書籍などで学んでいくといいでしょう。
書籍は新品が5,000円前後で手に入りますので、ご紹介します。
参考:「イタリアの幼児教育思想」鈴木昌世 著
日本における幼稚園や保育園では、アガッツィ教育の思想である、縦割り保育をしているケースが少ないのが実情です。
縦割り保育をしているからといって、必ずしもアガッツィ教育を取り入れているとは言えませんし、モンテッソーリ教育でも縦割り保育を推奨しています。
気になった方は、自治体の窓口に問い合わせてみてください。
アガッツィ教育とモンテッソーリ教育の違いとは?
アガッツィ教育もモンテッソーリ教育も家庭を大事にし、生活習慣を学び、道徳心を向上させるという意味では同じ教育理念を持っています。
大きく違う点は、モンテッソーリ教育での家庭の概念は保育施設を指していますが、アガッツィ教育では家庭そのものを指します。
そして、モンテッソーリ教育では、年齢別の玩具を利用して教育していきますが、アガッツィ教育では、専用の玩具を利用せずに、個体を識別できるようにしていきます。
モンテッソーリ教育では、一定の年齢になると、文字や数字などの勉強を取り入れていきますので、受験対策にも活用できます。
一方で、アガッツィ教育では、家庭の一環として捉えているため、自然に言葉や話を理解することを重要視しているため、受験向きの教育方法ではありません。
最後に
アガツィ教育は、北イタリアで127年も前に提唱された教育方法で、今なおイタリア全土でスタンダードに取り入れられている教育方法です。
日本にもアガッツィ教育の影響は少なくなく、日本の教育理念とアガッツィ教育は似通った性質があります。
ただし、アガッツィ教育を大々的に謳った保育施設は極めて少なく、探すのは大変かもしれません。
家庭を大事にする教育方法ですので、気になった方で兄弟・姉妹のいる方は、まずは家庭で取り入れていきましょう。
アガッツィ教育で愛情豊かな育児ができることをお祈りします。