型にハマった日本の教育にはあまり共感できない、と感じている方は少なくないでしょう。
確かに、受験戦争を生き抜くためには、詰め込み型の教育は有効です。
ですが、これからの時代を生きる子どもたちには果たして、詰め込み型の教育だけで成功できるとは限りません。
そんな方にはフレネ教育が適している可能性があります。
今回は、自由な発想で子どもの自主性を育んでいくフレネ教育について、その特徴や受けられる施設までご紹介します。
フレネ教育とは
フレネ教育とは、南フランスで教師をしていた、セレスタン・フレネという男性教師によって提唱された教育メソッドです。
フレネは戦争に従軍し喉や肺を煩い、大きな声で授業をできなくなったことを契機にこれまでと違った教育方法を展開していきました。
そこで生まれたのがフレネ教育。
これまでの詰め込み式の教育手法では、生徒たちが話を聞かず、フレネは大きな声も出せないため、フレネの授業は成り立たなくなっていったといいます。
そこで、フレネは子どもたちを連れて自然散策をした後に、自由に見たもの・感じたことなどを書かせる形式を取ったのです。
すると不思議なことにこれまで授業を聞かなかった生徒たちが夢中になって自由作文を書き始めました。
フレネは子どもたちには自由な発想で興味・関心のあることを教えていった方が、個性を生かしてのびのびと成長できると悟り、フレネ教育の礎を作っていったのです。
現在フレネ教育の実践国は世界で38ヶ国に上ります。
フレネ教育の特徴
フレネ教育にはいくつか他とは違う特徴があります。
・異年齢の縦割り教育 ・教科書は子どもが作る ・時間割がなく個人の活動計画表で学んでいく ・学校協同組合を組織化し意見交換を行う |
フレネ教育では、異年齢の縦割り教育を実施します。
教科書は決められた教科書を使いません。
教科書は、子どもが自分で発見したことを自由作文にまとめ、みんなの前で発表し、投票で決められます。
決められた時間割はなく、個人の興味関心で活動計画を子ども自身が作成していくのです。
そして進捗管理もシールを貼るなどして子ども自身が行います。
学校には協同組合が存在し、組合内で意見を交換し、さまざまな学校行事を運営していきます。
フレネ教育では、個人や個性を尊重もしますが、その実、協同組合などでもわかる通りに、人間交流にも重点を置いています。
フレネ教育では、個性化と協同化を2大原理として教育を実践していくのです。
フレネ教育の3メリットと効果
フレネ教育にはメリットがさまざまありますが、大きなメリットは3つです。
・個性を伸ばせる ・コミュニケーション能力を育む ・自信が持てる |
個人の興味・関心で活動計画を自分で作成し進捗管理をするため、個性を伸ばせるメリットがあります。
また、協同組合を通して発表する場が設けられていることから、コミュニケーション能力が育まれるでしょう。
縦割り教育で学年問わずに交流があるため、さらにコミュニケーションが取りやすくなり、年下の面倒を見られる子どもにも成長できます。
自由作文が認められれば、自分の作文が教科書として採用されますので、自信にも繋がるのです。
進捗管理を自分でし、予定通りに学習計画が進むことでも、更なる自信に繋がっていくでしょう。
フレネ教育のデメリット・注意点
フレネ教育にはデメリットもありますので注意していきましょう。
①受験対策ができない ②日本には学校が少ない ③能力が伸びるとは限らない ④日本では卒業資格が得られない |
フレネ教育では、従来の日本の詰め込み式の教育は実践しません。
そのため、文科省に認定されている、学習要綱とは、かけ離れた学習を行います。
受験では、その学年までに学ぶ知識の中で競争によって進学先を決めていくもの。
しかし、フレネ教育を受けた子どもには、その学年までに学ぶべき知識は身に付きません。
受験のためにはフレネ教育だけでは不足しますので、各家庭での違う教育も必要になってくるでしょう。
また、フレネ教育には歴史はあるものの、日本での実践校が少ないこともデメリットです。
そして、フレネ教育では、教師が子どもの個性に寄り添い、それぞれ違った分野を学んでいきますので、教師の裁量が問われます。
そのため、子どもが興味をもった分野でも、教師が教えることができなければ、能力が伸びるとは限らないことを覚えておきましょう。
日本におけるフレネ教育実践校はフリースクールやオルタナティブスクール扱いになるため、文科省認定校ではなく、卒業資格が得られません。
ただし、同時に公立の小学校などに在籍しておけば、卒業認定はされますので、安心してくださいね。
フレネ教育の対象年齢と年齢別の教育方法
一般的にフレネ教育は、3歳から12歳程度が対象とされていますが、日本におけるフレネ教育実施校では、3歳から18歳まで受け入れられています。
フレネ教育は自分で活動計画を作成していく性質上、年齢別の教育方法が特にないことも特徴です。
フレネ教育で家庭に求められるもの・できること
フレネ教育に興味があり、家庭に取り入れていきたい場合は、子どもに自由作文を書かせてみましょう。
作文といっても、フレネ教育の自由作文とは一般的な作文ではありません。
自分が思うこと、感じること、自然を観察して思うことなど自由な発想で感じたことを思うままに書かせるもの。
とはいえ、まだ幼児期の子どもの場合は文字が書けないかもしれません。
その場合は、自由に子どもの意見や感想に耳を傾けてください。
そして、自由作文を教科書のように扱い、内容を深堀し探求させていきましょう。
もしも兄弟・姉妹がいるなら兄弟間で発表して意見交換をさせてください。
そこから個性化と協同化が生まれていきます。
フレネ教育にかかる費用
フレネ教育にかかる費用は、フレネ教育の実践校に入学させるための金額です。
しかし、フレネ教育実践校はまだ数が少なく、近場にない場合は教育を受けることができません。
その場合はフレネ教育研究会のホームページからフレネ教育を実践するためのヒントを学ぶことができます。
書籍やDVDが販売されていますので、学んでみてはいかがでしょうか?
現在日本にある、フレネ教育実践校とかかる費用をまとめましたのでご覧ください。
フレネ教育実践校 | 住所 | かかる費用 |
ジャパンフレネ | 東京都豊島区雑司が谷1丁目7−2 202号 雑司が谷ビル | 入学金:50,000円年間施設費:55,000円教材費:実費年間保険・災害対策費:約3000円会費:45,000円授業料:49,500円 |
認定NPO法人コクレオの森 | 大阪府箕面市小野原西6-15-31 | 不明 |
けやの森学園幼稚舎・保育園 | 埼玉県狭山市根岸2丁目5−2 けやの森 | 入園金:100,000円保育料:27,000円※別途冒険活動費用、年間諸経費がかかる |
※価格は税抜
※2022年4月時点
最後に
フレネ教育は、個性を伸ばして、協同性も学べることが特徴です。
これからの社会では必要な人材に求められることですので、試してみる価値があるでしょう。
ですが、日本に置いて、文科省認定校では実践例がなく、卒業資格が得られないことが難点です。
フレネ教育に少しでも興味があるなら、まずはフレネ教育研究会のホームページから概要を理解し、保護者がフレネ教育を子どもに実践することがおすすめです。
そうすることで、家庭でフレネ教育を取り入れながら、子どもは文科省認定校で学ぶことができます。
フレネ教育で、押し付けではない教育を我が子に実践してみましょう。